未読の本と既読の本を分けて整理をしました。
って、まだ途中なんですけどね。
整理している中で、この本が出てきました。
彼(日記の中で『こいびと』と呼んでいた人)が、自分が読んだあと、くれた本です。
ああ、なつかしいなあ、と去年の夏の事を思い出しました。
そう。
自分の記憶と離れることなんて出来ません。
ただ、自分の記憶を遠くから見ることはできます。
私の位置は、ここです。
あなたの位置は、そこです。
あなたが『そこで』誰かを身体いっぱいで愛することが出来ているとすれば、
今の私はそれが一番嬉しい。
だって、私の位置はここなのだから。
って、まだ途中なんですけどね。
整理している中で、この本が出てきました。
彼(日記の中で『こいびと』と呼んでいた人)が、自分が読んだあと、くれた本です。
ああ、なつかしいなあ、と去年の夏の事を思い出しました。
「怖いことなんてないさ」
彼はゆったりとした抑揚をつけてそう言った。
「元の場所へ帰るだけさ。ただそれだけのことだよ」
「元の場所?」
「そう。ここに来る前にいた場所。記憶と君の位置が、きちんと守られている場所。」
「あなたは?あなたはどうなるの?」
「僕はここへ残る。僕は元から、ここにいたんだ。どこへ行く必要もない」
「私も一緒に残りたい」
「それは無理だよ」
「どうして」
「さっきも言っただろ。ここではすべてが、あらかじめ定められているんだ。ここは記憶なんだ。いくら君自身でも、どうすることもできない。」
「あなたと、・・・・・・あなたの指と、離れたくないの」
わたしは起き上がろうとした。でも、古い時間に燻された身体は重苦しく、片腕さえ満足に持ち上げることができなかった。
「僕たちは離れ離れになってしまうわけじゃないんだよ。だってそうだろ。君は自分の記憶と、離れることなんてできないんだから。」
そう。
自分の記憶と離れることなんて出来ません。
ただ、自分の記憶を遠くから見ることはできます。
私の位置は、ここです。
あなたの位置は、そこです。
あなたが『そこで』誰かを身体いっぱいで愛することが出来ているとすれば、
今の私はそれが一番嬉しい。
だって、私の位置はここなのだから。
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